実際のデータを見ると、日本のビッグマック指数は、2000年頃には世界的に見てかなり高いところにあった。それがいまでは、世界の最低グループに入っている。ビッグマック指数の低下は、日本が貧しくなり、日本の国際的な地位が低下していることを意味すると解釈される。この指数が日本で大きな注目を集めるのは、このためであろう。
一定の仮定の下では、ビッグマック指数は、その国の豊かさを示していると解釈することができる。その理由は次の通りだ。
実質賃金が一定なら、ビッグマック指数は豊かさを表す
いま、実質賃金は時間的に一定であると仮定しよう。つまり、賃金(あるいは1人当たり所得)と物価水準の比率は、時間的に変わらないものとしよう。
この場合には、日本とアメリカのビッグマック価格の比は、日本とアメリカの賃金の比を表していることになる。
先に示した2023年7月のデータにつき、具体的に示せば、つぎのとおりだ。日本のビッグマック価格450円を現実の為替レート1ドル=142.08円で換算すれば、3.17ドルになる。他方、アメリカのビッグマック価格は5.58ドルであり、日本の1.76倍だ。
だから、アメリカの賃金は日本の賃金の1.76倍だということになる。そのため、現実の為替レートでアメリカの商品を買おうとすると、日本人にはなかなか買えないということになるわけだ。
日本人とアメリカ人の賃金が等しくなるためには、為替レートが1ドル=80円にならなければならない。そして、仮に何らかの理由で日本の賃金が上がれば、日本のビッグマック指数は上昇する。
しかし、以上の解釈には注意が必要だ。ビッグマック指数が上がることは、必ずしも豊かになったことを意味しないのである。それは、上記の仮定、つまり「実質賃金が一定」という仮定が満たされないからだ。
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