日本人が「ますます貧しくなっている」という証左 ビッグマック指数が改善しての喜べない理由

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実際、このことが、2023年の指数に顕著に現れている。

2023年7月のビッグマック指数マイナス43.2は、2022年7月のマイナス45.1より上昇した。しかし、これは日本がこの間に豊かになったことを意味するわけではない。

最近の指数上昇は物価上昇の結果

何がこの原因なのか?それは、物価が上昇したことだ。賃金は上昇しないが、物価が上昇し、その結果、実質賃金が下がったのである。だから、ビッグマック指数が改善しても、購買力は上昇していないことになる。

豊かになったかと言えば、豊かになったわけではない。実際、実質賃金は低下したから、日本人は貧しくなったのだ。ビッグマック指数は改善したものの、賃金の購買力は低下したということになる

ビッグマック指数は、物価だけを見て評価しているので、このようなことになる。本来は、物価ではなく賃金を用いて計算すべきだ。しかし、賃金について国際比較データを得るのは難しいので、その代理変数として、ビッグマックの価格を使っているのだ。

繰り返そう。ビッグマック指数が改善したのは、いいことか?

仮にそれが日本人の賃金がビッグマックの価格と同率で上昇したことによってもたらされたのであれば、望ましい。それは日本人が、外国のものをより多く買えるようになったことを意味するからだ。

しかし、実際には、日本人の実質賃金は下落している。だから、日本人の購買力は低下していることになる。

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野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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