英国で壊された橋を「妖精」が2度も直した珍事 環境保全団体による"横暴"への抵抗か

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この橋は2022年2月に解体されたが、7月のある夜に代わりの橋が架けられた。塩沼に住んでいると昔から考えられている妖精たちのおかげだと、カーティスは説明した。

その数週間後、ナショナルトラストは、クラウン・エステート(イギリス王室所有の土地を管理する不動産会社)とナチュラル・イングランド(自然保護に関する政府の諮問機関)が危険だと指摘しているとして、その橋を撤去した。カーティスは、この出来事を「夜明けの急襲」と呼んでいる。しかし、その後すぐに2つ目の仮設橋が現れた。

北ノーフォーク議会の議員ダンカン・ベイカーは、2度架け直された「妖精の橋」は謎だとし、誰が橋を架け直したのか「地域住民の誰も知らない」と話した。

仮に誰かが知っていたとしても、そのことを言う人はいなかった。

情報開示を拒んだナショナルトラスト

ベイカーによると、最初の橋を撤去する決定の根拠とされた技術報告書の公開をナショナルトラストが拒否したことで、住民の我慢は限界に達したという。

「小人が巨人に立ち向かっている状況だ」とベイカーは言った。「巨大な組織は実際に橋を撤去したが、そのことに腹を立てている住民の感情に対して、何の用意もできていない」。

ナショナルトラストは、海岸の侵食により橋が安全でなくなったため、撤去する以外に選択肢はなかったと述べた。そして、独立した立場の構造エンジニアが11月に地域住民との会合に出席し、橋が撤去された理由を説明する予定だと語った。

「水路の幅が広がっているうえに、橋の老朽化状態などから、専門家の助言に従って安全上の理由で橋を撤去する以外に選択肢はなかった」と、ナショナルトラストは声明で述べ、橋の撤去が地域社会で心配の種となっていることは理解しており、来年の秋までに「現実的に可能な限り早く」橋を架け替えることに尽力すると付け加えた。

とりあえず2つ目の妖精の橋は、少なくとも現時点ではまだ残っている。

(執筆:Jenny Gross記者)
(C)2023 The New York Times

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