北海道新幹線「並行在来線」バス転換協議が中断へ バス運転士不足で鉄道代替交通を担えない
この「攻めの廃線」がその後の道内の鉄道路線廃止加速の流れを作ることとなり、札沼線北海道医療大学―新十津川間、日高本線鵡川―様似間、留萌本線石狩沼田―留萌間が次々と廃止された。2024年3月末には根室本線富良野―新得間も廃止される。
しかし、「攻めの廃線」のほころびがついに北海道新幹線の並行在来線問題で表面化することになった。本来であれば、道は予定通りのスケジュールで協議会を開催し、会議の場でバス会社との協議の実態について沿線自治体に対しての説明責任を果たすべきであるが、北海道の交通行政は機能不全に陥っている。
財政難を理由にするも
道は、鉄道への財政支出を渋る理由として「北海道は起債許可団体で財政難である」ことを理由に挙げる。しかし、一方で道路整備については、採算という概念なしに潤沢な予算が投じられ過疎地への高規格道路の整備は順調に進んでいる。北海道のインフラ整備に充てられる国土交通省北海道局の北海道開発予算は、2023年度は約5700億円の予算規模があり、このうち道路整備に充てられるのは例年約2000億円程度。こうした予算規模と比較すれば、道の長万部―小樽間の年間約25億円の赤字額については誤差の範囲内ともいえ、北海道の鉄道の廃線が加速する理由については、予算の執行体制が硬直化していることにほかならない。
同じ起債許可団体である新潟県は、新潟市と上越地域のミニ新幹線化を含めた鉄道高速化を検討するなど、在来線鉄道網の活用については積極的な姿勢を見せていることからも、起債許可団体であることが鉄道への財政支出を渋る理由とはならない。
長万部―小樽間の廃止を決めた協議会では「観光入込客数の増加や多駅化・多頻度化、あらゆる手立てを講じたとしても大幅な収支状況の改善を見込めないこと」も鉄道廃止の理由に挙げていたが、9月2日から24日まで週末を中心に同線経由で札幌―函館間を運行した特急ニセコ号は乗車率も高く、途中停車駅でのおもてなしイベントは大盛況だった。筆者も実際に特急ニセコ号に乗車したが、ホームで販売されていた余市駅のアップルパイや長万部駅のかにめしは飛ぶように売れており、鉄道を活用した観光面での経済波及効果を実感させられた。
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