バス転換の留萌本線、「鉄道代替交通」は前途多難 廃線直後に鉄道代替バス路線存廃協議の衝撃
2023年3月31日の運行をもって、JR北海道の留萌本線留萌―石狩沼田間35.7kmが部分廃止となった。留萌本線の廃止は、2016年12月の増毛―留萌間16.7kmに続くもので、2026年3月末には残る石狩沼田―深川間14.4kmが廃止となり、留萌本線の全線が廃止となる予定だ。
しかし、留萌本線の代替交通を担う沿岸バスは早くも4月28日になり、深川経由で留萌と旭川を結ぶ留萌旭川線について、関係自治体と今後の存廃協議を進めていることを公表。鉄道代替交通の持続可能性については、すでに暗雲が立ち込めている。
鉄道のポテンシャルは十分にあった
北海道留萌市は、留萌地方の中心都市で北海道庁の出先機関である北海道留萌振興局や国の各機関も設置されているほか、陸上自衛隊留萌駐屯地も置かれ留萌港は重要港湾に指定。人口はおよそ2万人で市街地も比較的広いが、留萌市街地には留萌駅のほか2016年に廃止になった瀬越駅の2駅のみしか設置されていなかった。
2016年に先行して廃止された増毛方面の線路脇には留萌市役所が隣接しており、さらに今回廃止された深川方面には留萌市立病院が隣接していたことから、「留萌本線の利用促進のために新駅を設置してはどうか」という市民からの要望も市議会に寄せられたこともあったが、結果、実現しなかった。こうして、留萌本線は市民にとって利用しにくい状況を放置し続けた結果、利用客の減少に歯止めがかからない状況に陥り、輸送密度は、JR北海道が発足した1987年度の436人からコロナ前2018年度の145人まで減少した。
留萌―深川間50.1kmの所要時間は55分程度で、深川駅で特急列車に乗り継ぐと札幌駅までは約2時間。一方で、留萌―深川間の路線バスの所要時間は、定刻で1時間10分程度で鉄道よりも約15分増加する。さらに札幌行の高速るもい号では、2時間39分~50分と約40分以上も伸びることとなった。ローカル線とは言え、留萌本線は速達性には申し分のない交通機関ではあったものの、こうした鉄道の利点をPRして利用促進を図ろうとする取り組みは放棄されつづけ、2016年、JR北海道は留萌本線を「単独では維持困難な線区」として発表。全線維持の場合には、沿線自治体に対して年間約9億円(キロ当たり約1800万円)の費用負担を求め協議が行われることになった。
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