半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は10月19日、2023年7~9月期の決算を発表した。世界的な半導体需要の低迷を受け、同四半期の売上高は前年同期比10.8%減の5467億3300万台湾ドル(約2兆5285億円)、純利益は同24.9%減2107億9500万台湾ドル(約9749億円)にとどまった。
とはいえ、この業績はアナリストの事前予想を上回るもので、TSMCの底力を見せつけた格好だ。金融情報サービスのリフィニティブの集計によれば、アナリスト予想の平均値は売上高が5403億9000万台湾ドル(約2兆4992億円)、純利益が1914億3000万台湾ドル(約8853億円)だった。
顧客の在庫調整が依然続く
「7~9月期の業績は、(半導体の微細化技術で世界最先端の)回路線幅3nm(ナノメートル)の生産能力拡大と5nmの需要増加が追い風になった。とはいえ、顧客サイドの在庫調整は依然として続いている」
TSMCの魏哲家総裁(社長に相当)は決算説明会でそう述べ、同社を取り巻く経営環境を次のように説明した。
「グローバル経済の全体的な低迷が続き、(エレクトロニクス製品の世界最大の生産国である)中国の半導体需要の回復は緩慢だ。AI(人工知能)関連の半導体需要は旺盛だが、半導体景気の下降サイクルがわが社の業績に与える影響を相殺できるほどではない」
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