血糖値が高めの人こそ「朝食が大事」の医学的理由 インスリン分泌を促し糖を調整する食事のコツ

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●朝食をしっかり食べると血糖値が下がる

朝、昼、夜と3食同じ食事内容で、それぞれ食後の血糖値を測ってみると、朝食後の血糖値が最も低く、夕食後の血糖値が最も高いことがわかりました。

それには、2つの理由があります。

まず1つめは、「インスリンの効果に差」があるからです。食事とともに分泌されるインスリンの効果は、体内時計によってコントロールされていて、血糖を調整する働きは朝食後が最大です。朝食後に上昇した血糖値は緩やかに下がっていきます。夕食後はその効果が弱く、血糖は高くなってしまうのです。

また、朝食後のインスリンは効力が大きいだけではなく、効果の「持続時間」も長いのが特徴です。昼食後や夕食後の血糖の上昇までも低く抑えてくれるのです。朝食は絶対に欠かせません。

2つめは、エネルギーの使い方に差があるからです。朝食にともなう熱産生(DIT:消化に内臓が活動することによって消費するエネルギー)が、夕食に比べて2倍も大きいために、朝食後の血糖値は低くなります。

カロリーを摂るなら朝がいい理由

朝に糖の吸収がさかんであるのなら、朝食を高カロリーにした場合と、夕食を高カロリーにした場合で、1日当たりの血糖値の推移はどのように違ってくるのでしょう。

イスラエルのヤクボヴィッツ教授は、1日1500kcalの食事を、

①朝食700kcal/昼食600kcal/夕食200kcal
②朝食200kcal/昼食600kcal/夕食700kcal

とで比較してみました。

予期したとおり、朝食を高カロリーにすることで、2型糖尿病(主に生活習慣の乱れから、すい臓のインスリンの分泌が低下し、血糖値が高い状態が続く)患者の1日全体の高血糖を減少させることができました。

朝食を高カロリーにして夕食を低カロリーにすると、高血糖や糖尿病、肥満が改善されていくのです。

●朝に食物繊維をとると、 昼が“チャンスタイム”に変わる

「セカンドミール効果」とは、カナダのトロント大学のジェンキンス博士が1982年に提唱した概念です。

ジェンキンス博士は、1日のうちの最初にとる食事(ファーストミール)で食物繊維を多くとると、食後の高血糖が抑えられるだけでなく、その数時間後にとる食事(セカンドミール)でも血糖の上昇を抑えられる効果があることを観察し、「セカンドミール効果」と呼びました。

(『大切なのは「いつ食べるか」でした。』より)
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