「望まない人事異動」で落胆した彼女を変えた言葉 「100分de名著」の「自省録」放送回を漫画化

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(画像:『まんが!100分de名著 マルクス・アウレリウス 自省録』より)
古今東西の名著をわかりやすく紹介するNHKの番組「100分de名著」。第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』をテーマにした放送回を基に、扶桑社がコミック化して刊行した『まんが!100分de名著 マルクス・アウレリウス 自省録』より一部抜粋してお届けします。

『自省録』とはどんな本か

この記事の漫画を読む(26ページ)

アウレリウスが多忙な昼間の政務から解放されて自由になれたのは、ただ一人寝室に引きこもる時でした。自らは戦場に行くつもりはないのに勇ましいことをいう今日の政治家とは違って、皇帝自身が戦地に赴きました。戦いに明け暮れる中、野営のテントで蠟燭の灯りを頼りに自分の思いを書き留めたのが『自省録』です。あくまで自分のためにだけ書いたノートであり、後に出版され、後世の人が読むとは夢にも思っていなかったでしょう。

日本では『自省録』という名前で知られていますが、アウレリウスがつけたわけではありません。誰かいつつけたかはわかりませんが、ギリシア語の原題である「タ・エイス・ヘアウトン」は「自分自身のためのもの」、何か言葉を補うのであれば、「自分自身のための覚え書き」という意味になります。

このノートをアウレリウスはギリシア語で書きました。アウレリウスがローマ人なのに母語であるラテン語ではなく、ギリシア語で書いたのは、後に見ますが、彼が傾倒したストア哲学の術語がギリシア語だったからです。ラテン語に翻訳しないでギリシア語をそのまま使う方が簡単だったのです。

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