「回復ムード」演出する中国悩ます3つの経済難題 「一帯一路」国際会議にあたって強気示したが…

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第2に、中国では経済成長のエンジンである投資が振るわないことだ。1-9月の固定資産投資は前年同期比3.1%減で、7カ月連続でマイナスとなっている。民間投資は同0.6%減だ。政府の意向を反映したインフラ投資や国有企業による投資に比べ、民営企業による投資が決定的に出遅れている。

習近平政権は今年に入って民営企業支援の政策を続々と打ち出しているが、企業の心理は委縮したままだ。国家統計局の報道官は会見で「3分の1以上を占める不動産投資を除けば、民間投資は9.1%のプラスだ」と説明したが、それほど民間不動産企業の投資は落ち込んでいるということだ。

経済が低空飛行を続けるリスク

第3に、消費の回復が鈍いことだ。消費動向を示す社会消費小売総額は2023年1~9月累計で前年同期比6.8%増だが、1~6月の8.2%増より鈍化した。1~9月累計で18.7%も伸びた飲食のほか食料品、アパレルなどが改善しているが、家電や通信機器などが振るわない。

裾野が広い不動産業界の不振は、投資にも消費にも大きく影響している。中国政府は時間をかけて不動産デベロッパーの債務再編を進める、ソフトランディング作戦を図っている。GDPの3割を不動産関連が占めるという中国経済の特性上やむをえない選択だが、それだけ中国経済が低空飛行を続けるリスクは高まる。

IMFは最新の予測で、中国の2024年の成長率をそれまでの4.5%から4.2%に引き下げた。2023年の成長率目標を達成できたとしても、なお苦難の道のりは続きそうだ。企業の投資、そして市民の消費を喚起する大きな方向転換が求められている。

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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