BEVの5シリーズに「駆けぬける歓び」はあるか? 「新世代のBEV」を感じたチューニングの妙

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そこはともかく、BMWは車内エンターテインメントの拡充に力を入れている。「運転していなくても居心地のいい場所と思ってもらいたい」と、ユーザーインタラクションシステム開発のヘッド、ラインハルト・ザイデル氏は言うのだった。

今回、i5で体験したのは、対戦型ゲームと映像だ。ゲームは、各人が自分のスマホで対戦するもので、「最大5人までつながる」とザイデル氏はいう。もう1つは、BMWがこのために契約しているブンデスリーガ(サッカー)のビデオだった。

大画面を駆使したゲームはスマホとの連携により5人での対戦ができる(写真:BMW)
大画面を駆使したゲームはスマホとの連携により5人での対戦ができる(写真:BMW)

「i5はOS8.5ですが、次のモデルではOS9に進化するので、さらにコンテンツは充実するでしょう。たしかに、5シリーズのオーナーの年齢層は、スマホを握りしめてゲームする世代より上ですが、若い人がもしこの車内エンターテイメントを体験する機会があれば、『BMWっていいね』と思ってくれるかもしれません」

これまでのBMWに近い

ドライブの印象はというと、端的に表現して、ものすごく速い。それでいて、ステアリングフィールなどはICEのBMWに近い。このチューニングの妙が、新世代のBEVを感じさせてくれた。

アクセルペダルによる速度コントロールは、踏み始めのところはけっこう長めというか、ゆっくり踏み込んでいくと、それにつれてトルクも同じような感覚で増していくタイプ。

そこから先は、多めにペダルを踏み込むと、周囲の交通があっというまに後方に消え去っていく感覚だった。40でもM60でも、驚くべき加速感は似ている。

一部のシステムの作動にリミッターをかけて走行距離を伸ばす「マックスレンジ」という機能も搭載(写真:BMW)
一部のシステムの作動にリミッターをかけて走行距離を延ばす「マックスレンジ」という機能も搭載(写真:BMW)

ただし、より速く走りたいというサーキット志向が強い人なら、足まわりがよりしっかりしたM60がいいだろう。M60は全輪駆動方式を持つからだ。

乗り心地は、とくに後席で“やや硬め”と感じた。「7シリーズと同じ」といえるかどうかわからないけれど、乗り心地重視なら、追って登場するICEを試してみてもいいかもしれない。

日本での価格は i5 eDrive 40が(ExellenceとM Sportともに)1045.3万円、i5 M60 xDriveが1622.8万円。メルセデス・ベンツ「EQE」やテスラ「モデルS」がともに1200万円台だから、バリューは高いといえる。BMWらしい「駆けぬける歓び」が、忘れられていなかったのもよかった。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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