共和党の一部は、バイデン政権の対イラン弱腰外交がハマスのイスラエル攻撃の原因とも訴えている。バイデン政権のアメリカ軍アフガニスタン撤退の失態を発端に、ロシアのウクライナ侵攻、そしてイスラエル・ハマス紛争など連鎖が起きているとの指摘もある。
上院外交委員長や副大統領など経験が豊富なバイデン氏は、政権発足当初、外交政策が強みと見られていた。だが、今やその外交政策が同氏の信頼喪失を招き、支持回復の足を引っ張っている。
国内でデモ拡大にテロリスクも
なお、イスラエル・ハマス紛争で、アメリカ国内のテロリスクも懸念され始めている。ここ数日、ワシントン近郊のユダヤ系の建物、教会などでは警備が強化されている。
アメリカ国内ではイスラエル支持が強い。だが、イスラエル政府によるパレスチナ人迫害が、ハマスのイスラエル攻撃を招いたとの主張も一部に存在する。全米の大学のキャンパスでは、イスラエル支持派とパレスチナ支持派で意見の対立が浮き彫りとなっている。筆者も、卒業生の間で非難の応酬を目の当たりにした。
今後、国内でのデモ活動拡大やテロなど社会不安リスクは懸念材料だ。
9.11から約2年後の2003年10月、ドナルド・ラムズフェルド国防長官(当時)は、国防総省幹部に送付した書簡で「神学校と過激な聖職者がアメリカに対抗する人物をリクルート、育成、派遣するよりも多く、われわれはテロリストを毎日、捕獲、殺害、抑止、説得しているだろうか」と記述。自らが指揮を執っていたアメリカの対テロ戦争の成果について疑問を投げかけた。
ハマス破滅を狙うイスラエルに強力な支援を表明しているアメリカ政府だが、中東での戦火が拡大し、人道危機が長期化すれば、国民から同様の疑問の声が出てくるかもしれない。その際、アメリカ社会の中枢にいるユダヤ系の政権への影響力が試される。
いずれにせよ、バイデン政権は再び中東情勢に深入りすることとなり、当面は同地域がアメリカの頭痛の種となること必至だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら