老後の楽しみを一気に奪う「サルコペニア」の恐怖 健康寿命を延ばす「たん活」「貯筋」のススメ

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東京都健康長寿医療センター研究所の発表によると、歩幅が狭い人は広い人に比べて認知機能低下のリスクが3倍以上高く、特に女性の場合は通常の5.8倍も高い、とされています。 だから犬の散歩とは別に、歩幅をできるだけ広くとってウォーキングを行ってください。

ただ、歩幅を広くといっても70歳を過ぎると頑張りすぎてひざを痛めたり、呼吸が乱れてしまいます。僕が考案した「鎌田式ウォーキング」は、速歩きと遅歩きを組み合わせた「速遅歩き」。

3分間の速歩きの後は3分間の遅歩きでゆっくり腹式呼吸をしながら副交感神経を刺激して血圧や脈拍を整え、また3分間の速歩きに戻る、を繰り返します。

(イラスト:太田裕子)

「貯筋」はウォーキングだけではできない

――この「速遅歩き」なら、運動習慣のない高齢者でも実践できそうですね。

「貯筋」のためにはウォーキングだけでは不十分で、筋トレも必要です。でも、筋トレも多くの高齢者にとってはハードルが高いですよね。僕が勧めるのは「鎌田式スロー・スクワット」と「鎌田式かかと落とし」。スロー・スクワットでお尻や太ももなどの大きな筋肉を、かかと落としで「第二の心臓」といわれるふくらはぎを刺激し、全身の血流を促します。筋トレに慣れないうちは、テーブルなどにつかまりながらやってもかまいません。

(イラスト:太田裕子)

――高齢者でも取り組みやすい筋トレを教えていただきました。ただ、特に運動習慣のないの人にとってはよほど頑張って取り組まないと……

いえいえ、頑張りすぎるとかえって長続きしませんよ。僕の健康法は「食べるな」とか「ダイエットしろ」なんて言ったことがありません。基本的にはおいしいものを食べるために僕たちは生きているのだから、「頑張って運動しなきゃ」と思わずに「体を動かしておけばこれからもおいしいお酒やごはんを楽しめるぞ」と思えたほうが、長続きすると思います。

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