マンションで静かに進む「ステルス値上げ」の現実 人手不足の建築業界に迫る「2024年問題」とは?

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背景にあるのは、建築・不動産業界における人材不足だ。マンションの大規模修繕工事の現場では、さまざまな人材が活躍する。

例えば工事現場に常駐し、品質・原価・工程・安全などの施工管理を担う現場代理人(現場監督)は工事全体の指揮を執る重要な存在だ。職人など現場に関わる人材を取りまとめる役割も担う。その現場代理人はつねに不足しているうえ、職人を集めるのも大変だ。

木材や鋼材など建築資材は高騰の一途をたどっている。当然ながら、大規模修繕工事における見積もりも高額になる。人集めや資材費など工事に必要な実質のコストがアップしているのに加え、施工会社の利益も確保する必要がある。

かけた金額に比例して現場の状況がよくなっているとは言いがたい部分も生じており、期せずして「ステルス値上げ」になっている部分は否めない。

管理委託費は上がったのにサービスの質は低下?

また、働き方改革に関連する法律が施行され、業界の中でも労働環境改善の動きが進められている。2024年4月1日からは時間外労働の上限規制が適用され、違反した場合の罰則も設置された。

あわせて国土交通省では週休2日を推進するための環境整備に力を入れている。労務環境や待遇のいい現場に人が集まるようになり、人手を確保するのはますます難しくなることが予想される。

マンションの日常的な管理業務を行う管理会社との管理委託契約においても同様だ。管理員や清掃員などのなり手も少なく、人材の確保が困難な状態となっている。最低賃金の上昇などの背景もあり、管理委託費の値上げに踏み切る管理会社も増えてきた。

今までお話ししたとおり、物価高騰の折、管理委託費の値上げはやむを得ない部分もあるだろう。しかしサービスのレベルを維持する目的で委託費アップを受け入れたのにもかかわらず、管理の質や仕様を変えるよう提案される管理組合も少なくないという。管理委託費は上がったのに、サービスの質は低下しているという状況だ。

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