──米国のZ世代の特徴とは?
米国のZ世代は多様で、本書も世代ですべてが決まると主張するものではない。ただ、年長世代と比べてリベラル志向が強く、政治社会のラジカルな変革を求めている。これは、さまざまなデータからも裏付けられる。本書では、Z世代のリベラル志向は米国の悲惨な現実と向き合うリアリズムからくるものだ、と主張した。
彼らは物心ついて以来、右肩下がりの米国しか経験していない。01年の9.11同時多発テロ以降の対テロ戦争は、円換算で約880兆円の戦費を浪費し、7000人を超える米兵のほか約90万人の敵兵や市民も犠牲となった。さらに、08年にはリーマンショックで国内経済が打撃を受け、格差も拡大。多くの若者たちが多額の教育ローンを抱える。20年から本格化した新型コロナ禍では、一国として最多の死者を出した。国民皆保険が整っていないなど、社会保障のもろさがあらわになった。
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