憧れて就いた自然番組ディレクターの職を51歳で辞し、ハンターになった。「帆はすでに僕の中にあった。でも畳まれていた」。今、北海道の山中に獣を追う。著者にとってそれは、より大きな自由。動物たちと、自然と、もっと一体になることだった。
──30代半ば、1週間の有給休暇を使ってカナダ・ユーコン準州奥地に先住民のキースさんを訪ね、初めて狩猟の旅に同行されました。
普通の人と同様、かつての僕にとっても狩猟とはすごく遠くにあるものでした。ただ20代の頃から写真家の星野道夫さんが好きで、彼の本を通して、狩猟採集民族である北米先住民の世界や神話に興味を持った。そこから狩猟につながっていった感じです。
タギッシュ/クリンギット族の語り部として来日したキースと出会ったのが2006年。人間という存在は「大地の一部、水の一部」という彼の言葉が胸に響きました。その半年後、カナダに渡り、キースの狩猟に同行したんです。
──10年後、北海道への異動を機に、週末自ら狩猟をするように。
平日は番組制作の業務をこなし、週末は狩猟に出て深夜までかけてその記録をブログにつづり、ぶっ倒れるように寝て起きて出社して、週末また猟に出る、みたいな。疲労困憊(こんぱい)、でもやりたい。あんな生活、よくやってたなと思いますね。
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