TVディレクターを辞め、僕が猟師になった理由 『獲る 食べる 生きる』黒田未来雄氏に聞く

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『獲る 食べる 生きる』著者の黒田未来雄氏
黒田未来雄(くろだ・みきお)/ハンター。1972年生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業後、三菱商事入社。99年NHKに転職、ディレクターとして「ダーウィンが来た!」などの自然番組を制作。2023年早期退職。狩猟体験や講演会、授業、執筆などを通し、狩猟採集生活の魅力を伝えている。(撮影:小倉雄一郎(小学館))
憧れて就いた自然番組ディレクターの職を51歳で辞し、ハンターになった。「帆はすでに僕の中にあった。でも畳まれていた」。今、北海道の山中に獣を追う。著者にとってそれは、より大きな自由。動物たちと、自然と、もっと一体になることだった。
獲る 食べる 生きる: 狩猟と先住民から学ぶ”いのち”の巡り
『獲る 食べる 生きる: 狩猟と先住民から学ぶ”いのち”の巡り』(黒田未来雄 著/小学館/1870円/251ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──30代半ば、1週間の有給休暇を使ってカナダ・ユーコン準州奥地に先住民のキースさんを訪ね、初めて狩猟の旅に同行されました。

普通の人と同様、かつての僕にとっても狩猟とはすごく遠くにあるものでした。ただ20代の頃から写真家の星野道夫さんが好きで、彼の本を通して、狩猟採集民族である北米先住民の世界や神話に興味を持った。そこから狩猟につながっていった感じです。

タギッシュ/クリンギット族の語り部として来日したキースと出会ったのが2006年。人間という存在は「大地の一部、水の一部」という彼の言葉が胸に響きました。その半年後、カナダに渡り、キースの狩猟に同行したんです。

──10年後、北海道への異動を機に、週末自ら狩猟をするように。

平日は番組制作の業務をこなし、週末は狩猟に出て深夜までかけてその記録をブログにつづり、ぶっ倒れるように寝て起きて出社して、週末また猟に出る、みたいな。疲労困憊(こんぱい)、でもやりたい。あんな生活、よくやってたなと思いますね。

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