井ノ原氏に拍手も、ジャニーズを救った暴走質問 藤島氏不在のマイナスを薄めた大荒れ会見

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登壇したのは前回同様、顧問弁護士の木目田裕氏と東山社長、子会社社長の井ノ原快彦氏。さらにもう一人、今回の改革の一つとなるCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)に就任した山田将之弁護士が、藤島氏不在の中で東山社長と井ノ原氏をはさんで着座する陣形となった。

このあたりは、さすがジャニーズ事務所である。一流弁護士事務所の一流弁護士を並べ、先述の司会も、紅白歌合戦司会まで務めた元ベテランNHKアナウンサーの松本和也氏だということで、最強の布陣による開戦となった。

東山社長による説明が始まったが、藤島氏不在については何も触れない。10分ほど過ぎた辺りで東山氏は、井ノ原氏を指名し、今日ここにいない藤島氏の言葉を代読させたのだった。

危機対応コミュニケーションは真実を伝えるだけの場ではない。燃え上がる批判の炎をいかに抑えられるかが重要である。責任者である藤島氏が不在であることだけでも十二分に記者団への挑戦状となっているが、その言葉を本人以外が代読するという手法も、当然不利以外の何ものでもない。

藤島氏の不在はやはりマイナス

今回の会見にこれだけの最強の布陣を敷くことができる会社が、そんなこともわからないはずがない。緊迫した雰囲気の中で、井ノ原氏の代読により、藤島氏の心情は語られていった。

藤島氏はパニック障害であり、このような極端な緊張感を呼ぶ場に耐えられないというのが、不在の理由だが、当然それで納得する取材陣はいない。当たり前の話ではあるが、手紙のように事前に準備できるものはいかようにもプロが手を加え、万全の情報管理と表現のブラッシュアップが可能となる。つるし上げられて切羽詰まって発する言葉とは雲泥の差となる。

内容的には母・メリー喜多川氏との特殊な母子関係や幼少期からの自分の立ち位置など、これまで語られなかった話もあるものの、「このまま質疑応答に進めば間違いなく火だるまになることは避けられないだろう」とこの時は感じていた。

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