ファーウェイ「スマートEV」の販売テコ入れに奇策 購入客に新型スマホ「Mate 60」の優先購入権

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問界の現在の製品ラインナップはM7とM5の2車種で、実質的な初年度だった2022年の販売台数は合計7万台を突破。無名の新ブランドの立ち上げにあたり、ファーウェイの(ブランド力や営業力の)存在がプラスに作用したことを証明した。

ファーウェイの「Mate 60シリーズ」は、問界ブランドの販売テコ入れの起爆剤となるか(写真はファーウェイのウェブサイトより)

しかし2023年に入り、問界は厳しい試練に直面している。1月上旬にテスラが大幅値下げに踏み切ったのをきっかけに、EVメーカー間の値下げ競争が勃発。問界も直ちに追随したが効果がなく、販売不振に陥ったのだ。

2023年に入り大幅な落ち込み

問界は直近の販売実績を明らかにしていないが、(車両の生産を担当する)賽力斯集団が公表している月次販売速報によれば、1月から8月までの累計販売台数は3万3000台と前年同期比15.6%減少した。

一方、業界団体の全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)のデータによれば、同じ期間の新エネルギー車の販売台数は前年同期比38.5%増加しており、賽力斯集団の低迷ぶりが際立つ。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、プラグインハイブリッド車[PHV]、燃料電池車[FCV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

本記事は「財新」の提供記事です

なお、賽力斯集団は問界ブランド以外のクルマも生産しており、月次速報にはその販売台数も含まれている。このことは、問界ブランドの販売の落ち込みは(賽力斯集団全体の落ち込みより)さらに大きい可能性を示唆している。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月12日

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