叙勲はリーズナブルな国家の統治道具だ--『勲章』を書いた栗原俊雄氏(毎日新聞学芸部記者)に聞く

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──民間企業人はどうやって選ばれるのですか。

所轄の官庁にそれぞれノルマがあって、それに対して地方自治体や職能団体からボトムアップされていく。前例型でこの人に叙勲を、と上げていくから、後発の業界ほどエネルギーがいる。どの勲章になるかは、賞勲局にリストを出す前に各省庁レベルでほぼ決まる。

──「猟官」ならぬ「猟勲」運動もありますか。

カネでは買えず、業界での積み重ねで叙勲を得る。そこに価値の源泉がある。自社の総務部長を叙勲のためのみに働かせた人もいたとか。

──勲章自体はコレクターの収集対象になっています。

文化勲章が995万円とか、あらゆる勲章が売られている。遺族が手放すという。名誉は一代だけというのが健全さを維持させているのかもしれない。

くりはら・としお
1967年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。同大学大学院政治学研究科修士課程修了。毎日新聞社に入社し、横浜支局などを経て現職。日曜版に掲載の「戦艦大和」「続戦艦大和」「シベリア抑留」で疋田桂一郎賞。著書に『戦艦大和 生還者たちの証言から』『シベリア抑留 未完の悲劇』。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年5月21日号)


『勲章』 岩波新書 756円 211ページ

  

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