フランス「ラグビーW杯」開催都市の交通事情は? 日本代表初戦のトゥールーズは路面電車が活躍

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トラムの車両は、フランスの鉄道メーカー・アルストム製の超低床電車「Citadis(シタディス)302ファミリー」がベースだ。同タイプの車両はフランス各都市をはじめ各国で使用されているが、トゥールーズの車両デザイン決定には地元のエアバス社も関わっており、その旨を示すマークが各車両に取り付けられている。

トゥールーズ トラム シタディス
トゥールーズのトラム車両。フランス・アルストムの「シタディス302ファミリー」を使用している(筆者撮影)

トラムはラグビーW杯の盛り上げにも一役買っており、大会カラーの青色をベースにW杯のロゴや同市で開催される試合の対戦国名などをラッピングした車両が数多く走っている。日本代表の試合についても対チリ戦(9月10日開催)、対サモア戦(9月29日開催)が記されており、日本人として誇らしげな気分になる。

トラム ラッピング
日本代表の試合も記されたトラムのラッピング(筆者撮影)

市内のトラム、メトロ、そしてバスはティセオ(Tisséo)という交通ネットワークに組み込まれている。これらの交通機関は共通の運賃制度となっており、共通乗車券で自由に乗り継げる。

試合開催時の中心部は「カーフリー」

ラグビーW杯の試合開催に当たって、トゥールーズ市当局は大規模な交通規制を行った。市内中心地からクルマを追い出したことはもとより、その中心地からスタジアムに至るエリア一帯について、一部の幹線道路を除いて全面的に自動車を通行禁止にした。

旧市街の真ん中にある市役所の近くにあるキャピトル(Capitole)広場から3kmほどの道路は「ラグビーサポーターが歩く通り」と位置付け、やはり自動車通行禁止の施策が採られた。市役所は、サポーターらに「スタジアムまで一緒にパレードを」と呼びかけ、このルートを大勢で練り歩いた。9月10日の日本対チリ戦の際は、日本代表のジャージを着たサポーター数百人がパレードに参加した。

筆者もこのパレードと共に、中心街からスタジアムへの道のりを歩いてみた。大規模な通行禁止規制について市民からよくも苦情が出ないものだと感心したが、「何万ものサポーターが街をうろうろする日に、わざわざクルマを出してどこかへ行こうと考えるほうがおかしい」と話す市民もいた。「ラグビーの街」を標榜するトゥールーズの人々らしい発想かもしれない。公共交通の充実も、このような施策を可能にしているといえるだろう。

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