フランス「ラグビーW杯」開催都市の交通事情は? 日本代表初戦のトゥールーズは路面電車が活躍
トゥールーズはフランスの首都・パリから約600km離れており、高速列車TGVをはじめとする長距離列車で結ばれている。同市のフランス国鉄(SNCF)の中心駅はトゥールーズ・マタビオ(Toulouse-Matabiau)駅といい、最速のTGV inOuiを筆頭に、TGVの格安列車「OUIGO」、在来線の都市間特急アンテルシテ(Intercités)、そして近距離を走る郊外電車が発着する。
TGVが主力となり客車列車の減ったフランスだが、ボルドー―トゥールーズ―マルセイユ間を結ぶ昼行のアンテルシテは1970年代製の客車「コライユ(Corail)」で運行されており、寝台車を組み込んだパリ行きの夜行列車も運転されている。
また、SNCFは本大会のオフィシャルスポンサーにもなっており、駅には横断幕などが掲げられW杯のムードを盛り上げている。
サポーターはどうやって移動?
ラグビーW杯では、各チームの試合は中5~6日を空けて設定される。日本代表は9月10日のチリ戦の後、同17日に南仏のニースでイングランドと対戦する。せっかくフランスを訪れたのだからと、2試合以上を観戦しようとする日本人サポーターも数多い。中には「退職記念」と称して、W杯の会期中フランスに滞在し続けるという猛者もいるから驚きだ。
そんなサポーターたちには、試合の間の空き日程にフランス各地を訪れてみようという人も多い。そのほか、隣国スペインのバルセロナや、地中海に沿って南仏からイタリアを目指すといったルートで旅行する例もみられる。筆者にとって意外だったのは、これらのサポーターが欧州の鉄道周遊券「ユーレイルパス」を使って、フランスと周辺国を回るという声が聞かれることだ。かつてはポピュラーだったユーレイルパスを使った長旅は衰退傾向にあると思っていたが、複数のサポーターがこのパスを使って周遊するといい、意外な”需要”に驚きを感じた。
地理不案内な外国からの観戦客を迎えるに当たって、各開催都市や交通運行各社はあの手この手で案内の方法を準備している。幸いなことに、簡単な英語で会話に応じてくれるので、スマートフォンの翻訳アプリや地図アプリも併用すれば、トラブルを回避しながらより安全な移動ができそうだ。
一方、9月17日(日本時間18日)の日本対イングランド戦の舞台であるニースは、交通局と労働組合の対立により、空港に着いたW杯のサポーターがトラムに乗ろうとしても1週間〜10日有効の高いチケットしか販売していないといった状況が発生している。また、W杯に合わせてSNCFが企画した周遊切符も空港のアクセス駅ではなく、市内の中心駅まで行かないと購入できない。トゥールーズのように、市民と行政、警察が連携し、しかも治安がよい街でW杯の関連イベントを行えるのはむしろ異例ともいえる。
ラグビー日本代表の快進撃を楽しみにしながら、各国のサポーターたちが安全にフランスで行動できることを願ってやまない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら