サッポロvs国税庁、115億円は誰のものか 酒税返還を求めたが、当局の返事は「ノー」

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制度上、ここで納税者側の要求が認められると、国側はそれ以上争えない。だが、「法解釈が争点になる事件では、納税者の請求は退けられることが多い」(木山弁護士)という。今回のサッポロの一件は酒税法の解釈をめぐるものとみられ、審査請求で勝てるかどうかは微妙だろう。

一連の手続きで返還が認められず、なおも争うとなれば訴訟しかない。ただし、国税不服審判所とは違い、仮に一審で勝訴しても国が控訴することは十分に考えられ、最高裁判所までを見据えた長期戦を覚悟する必要がある。

 115億円は”捨て置けない”

昨年6月で販売を終了した「極ZERO」。未だに、第3のビールに該当したかどうかがはっきりしていない

実際、争いが長期化しているのがホンダだ。移転価格税制をめぐり追徴課税されたのが2004年。異議申し立て、審査請求でも主張が認められず、2011年に東京国税局を提訴した。

2014年8月に東京地方裁判所で全面勝訴したものの、翌月に国税局が控訴した。5月13日の高裁判決でも勝訴したが、当局が上告する可能性は残っており、終わりはまだ見えていない。

サッポロが税金の還付を受けるには、酒税法上「極ZERO」が第3のビールであることを、あらためて詳しく立証していかなければならない。今後の対応について、5月12日時点でサッポロは「外部専門家の意見を仰ぎながら検討していく」とする。

自主検証で確認ができたのであれば、昨年に納付した115億円もの酒税を捨て置けないだろう。異議申し立ての期限は当局の通知から2カ月以内。行動を起こすならば6月中だ。“早期解決”に失敗すれば、先の見えない法廷闘争が待っている。

「週刊東洋経済」2015年5月23日号<18日発売>「核心リポート04」に加筆)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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