VIVANTが見せた日本のドラマが失っていたもの 単なる考察ドラマで終わらなかった深い理由

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でも、さすがに、79分に延長しても最終回で解決するには、またセリフで済ましちゃう? 続きは映画で? 配信で?続編?ということになりそうだし、そもそもバルカの少女・ジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズラ)は善人か悪人か見抜く能力があるとされている。彼女に全員判定してもらえば丸く収まる気もするが。

40年前に人間が失ったものを思い起こさせる

評価できる点は、モンゴルで壮大なロケを慣行し、地元の俳優たちを起用し、観たことのない画を作り出したことで、近年、コロナ禍や経済的な問題で何かと抑制気味の日本のテレビドラマを揺さぶったこと。

砂漠のスケール感は爽快で、架空の国バルカ共和国に想像力が刺激された。なんといってもモンゴルの大地に立った俳優たちの表情が生き物としての野生味を取り戻したかのようにギラギラと輝いていて、そこでしか感じられないものを感じて演じていることが伝わってきた。

第9話で突如大活躍して林遣都(ベキの若き頃役)の表情も日本で撮影したら違っていたんじゃないだろうか。『VIVANT』とはフランス語で「生き生きした」という意味。タイトルにふさわしい、昨今珍しい躍動感あるドラマ。『VIVANT』に励まされ、40年の間に失ってしまったものを思い起こし、日本人は再び立ち上がるべきなのだ。

木俣 冬 コラムニスト

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きまた ふゆ / Fuyu Kimata

東京都生まれ。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。

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