iPhoneが遂げた進化とApple Watchの新機軸 「環境対策」を大きく打ち出したアップルの狙い
アップルは2030年までに製品製造に関わる温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラル」に取り組んでいる。これまで、自社のオフィスや直営店で利用する電力を再生可能エネルギー化してきた。プレゼンテーションの中で、その進捗を紹介する寸劇も用意された。
ティム・クックCEOや、環境を担当するバイスプレジデントのリサ・ジャクソンをはじめとする役員が会議室に並び、「母なる大地」に扮する女優オクタヴィア・スペンサーに、環境対策の進捗を説明するのだ。
その中で、自社は達成済みでサプライヤーに対しても働きかけている再生可能エネルギー100%使用の進捗や、植林、より環境負荷の低い輸送手段などに加えて、水資源の使用を630億ガロン(1ガロンは約3.8リットル)削減したことも報告している。
水資源については近年、AI利用の促進によって、データセンターの冷却に大量に使われるようになっている。その使用量は原子炉を冷やすために用いられる量に匹敵し、今後も増え続けていくと見込まれる。その水資源の使用削減に言及している点も、時流をよく読み取っている。
100%カーボンニュートラル達成のApple Watch
今回大きく取り上げられたのは、Apple Watch SE、Apple Watch Series 9、Apple Watch Ultra 2において、スポーツループなどのナイロンバンド、アルパインループやトレイルループを選択することで、100%カーボンニュートラルを達成する初めての製品となったことだ。
アルミニウムケースは100%再生アルミニウムを使用、チタンケースのApple Watch Ultra 2では再生素材を95%使うことで、温室効果ガスの削減と資源の節約に寄与している。バッテリーのコボルトも100%再生資源とした。また箱のサイズを小さくして輸送にかかる温室効果ガスを削減し、製造過程の温室効果ガスもカット。
こうしてApple Watchの製造について78%の温室効果ガスを削減することに成功した。ユーザーが使う電力や削減しきれなかった部分をカーボンクレジットで補填し、100%カーボンニュートラルを実現した、Apple初めての製品となった。
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