鉄道員一直線とは限らない「鉄道高校」何を学ぶ? 時代に応じて以前はなかった手話や中国語も
冒頭で卒業後の進路が鉄道だけではなくなりつつあると述べたが、やはり鉄道員を目指して入学する生徒は多い。それを示すのが遠距離通学だ。最近では学校説明会で、鉄道路線図に生徒が住んでいる駅を赤く塗って見せるということを始めたといい、これを見ると本当に広範囲から通っているのがわかる。
前橋から通学しているという生徒は、自宅から自転車で70分かけて駅まで行き、在来線で通学しているため、往復に7時間かけているという。浜松から新幹線で通う生徒もいるという。これは昭和鉄道高校史上最長距離ということなのだが、これは「確かに下宿のほうが新幹線定期より安かったみたいですが、でもちゃんとご飯を食べているか、寝坊したりサボったりしてないかといった心配がなく、親元に置いておく安心感から通学を選ばれた」(松井先生)ということのようだ。
「
運転士になった同級生に会うことも
このように本気で鉄道員を目指す生徒も多い一方で、実際の就職は鉄道業界以外も増えてきているようだ。「最近は特に公務員進路にも力を入れている。併願できますから。最近は2年連続防衛省へ、また外務省への就職実績もあります」(松井先生)。進学も昔だったらほぼ困難と言われていた国立大などへ進む例も増えているといい、理工系大学へ進学した筆者が「異端」と言われた昔とは時代が変わっているようだ。
また、筆者の在学時は「駅務研修」という各鉄道会社の駅での業務体験ができたが、今は「インターンシップ」に変わり、鉄道会社以外の企業も選べるようになったとのことだ。もっとも、田園調布駅で駅務研修を受けた筆者としては、普段外からは見られない駅の動きや裏側を見られるレアな体験ができる駅務研修を選ばないのはちょっともったいない気はする。
いかがだったであろうか。多くの方にとって「鉄道の授業がある高校」は未知の世界だろうが、「鉄ヲタ学校」だと思っていた方はかなりイメージが変わったのではないだろうか。
ちなみに卒業すると駅などでかつてのクラスメイトに出くわすこともある。筆者がホームの先頭で列車を待っていると、やってきた列車が停止位置まで100mほどの場所に来たところで乗務員室の窓が開き、何かと思ったら運転士になった同級生が手を振ってあいさつをしてくれて、その眼力と反応の速さに驚かされた。このように駅や列車で、夢をかなえた同級生の姿を見ることができるのは鉄道高校ならではだろう。
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