相次ぐ新施策、なるかロースクールの「反転攻勢」 一橋・慶応・早稲田・中央ロースクールに聞く

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学生からよく言われるのは、教員との距離感が近く、仲間的な雰囲気の中で勉強ができるということ。司法試験の受験指導はまったくやっていないが、ロースクールの成績(GPA)と司法試験の合格率は非常に高い相関関係がある。ロースクールできちんと勉強していれば、ちゃんと受かるので信頼してほしいと学生に伝えている。

北居 功/慶応大学大学院 法務研究科 委員長(記者撮影)

ロースクールの理念として国際性、学際性、先端性を打ち出していて、これに合わせた科目を多く用意している。2017年にグローバル法務専攻を立ち上げた。英語で授業を行い、1年間で法務修士の学位を取得できる日本で唯一のプログラムだ。このコースに設置されている科目は法曹養成専攻(ロースクール)の学生も履修することができる。

若くて優秀な学生が高い給料をもらえるコンサルティング会社などを志望する現状には危機感を抱いている。法学部の1年生向けに、実務家を呼んで法律家の世界やその魅力を伝える授業を設けている。

高校生や法学部生に法曹の魅力をアピール

早稲田大学 大学院法務研究科 教務主任(教務担当) 秋山靖浩
法曹の志望者は以前より減っているので、学部段階から興味を持ってもらう必要がある。「法曹を知る」という法学部1年生が取れる科目を設置している。この科目は早稲田大学高等学院、本庄高等学院、早稲田実業といった附属・系属校の高校生も希望して何人か履修している。これらの学校は基本的に早稲田大学には入れるので、「法学部に来て、法曹になるといいよ」と高校生たちにアピールする必要があると感じている。

早稲田ロースクールの秋山研究主任
秋山靖浩/早稲田大学大学院 法務研究科 教務担当 教務主任(記者撮影)

早稲田のロースクールが掲げる理念は「挑戦する法曹」。司法試験合格はもちろん、法曹になった後もいろいろなことにチャレンジする法曹を育てたい。そうした意味で、リーガル・クリニック(法律相談などの臨床法学教育)やエクスターンシップ(実務体験)といった実務系のカリキュラムが早稲田の売りだ。あとは、シンポジウムなどを開催して女性法曹を増やす取り組みもしている。

ロースクールに求められていた理念に忠実に、開設時は未修者主体の募集にしていた。ただ、早稲田の法学部生が既修者枠の充実している他大学に行ってしまったり、他学部出身や社会人の入学者が激減したりということがあり、2011年に既修者の入学定員のほうが多くなった。

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