大阪万博「請け負えばやけどする」ゼネコンの本音 万博の華「海外パビリオン」の工事遅れが超深刻

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大阪・関西万博では、ゼネコン業界が万博協会側に、再三にわたって積極的な関与を依頼してきた。例えば、3年前の2020年春には、日建連の関西支社幹部が万博協会に、タイプAの発注の仕方について業界の意向を伝えた。

「発注側の外国政府と国内のゼネコン各社が直接交渉することに、多くの会員が心配していた。どこの国の言葉でやりとりするのか。工事に日本の約款が適用されるのか。スーパーゼネコンならば交渉能力があるが、それ以外のゼネコン(準大手や中堅ゼネコン)は政府が間に入ってくれないと、交渉をうまくまとめられない」(日建連の山本徳治事務総長)。

2022年8月には、日建連が会員の不安の声をとりまとめて、万博協会に伝達した。「外国政府のパビリオンは工期が厳しくなると危惧されるので、『万博協会の積極的な関与をお願いします』と依頼した。残業規制も始まるため、それを踏まえた工期の確保も要望した」(山本事務総長)。

「1日も早く図面をほしい」

しかし、ゼネコン業界の意向を万博協会がまともに受け止めたのかどうかは疑わしく、今年7月に入ってからも、工事はほぼ進捗していなかった。「図面をもらってから着工まで資材の準備などに時間がかかるので、精度の高い設計図面を1日も早く出していただきたい」。同月に行われた日建連の定例会見で、宮本洋一会長は工事が遅延することへの懸念を率直に語った。

山本事務総長は、次のように指摘する。「(万博協会は)スケジュール管理ができていないことが明確だ。とくに、タイプAのスケジュール管理がうまくいっていない」。

この先、仮に工事契約が進んだとしても、建設工事が順調に進捗するとは限らない。

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