サトウキビ列車と高架路線「新旧ハワイ鉄道」の今 ホノルルの新規開業後、マウイ島では山火事

拡大
縮小

さらに利用客を増やすためにはどうしたらいいだろうか。スカイラインの特徴は高架という高い視点でハワイの景色をゆっくりと味わうことができるという点にある。沿線住民の日常利用が定着するまでの間は、観光客の取り込みに力を入れるというのも一案だ。

この夏の日本からハワイへの観光について、日本航空ハワイ支店長の青木剛氏によれば、「昨年の同時期と比べて、JALとしては4~6月では約4倍、7月~8月上旬は2倍に増えている」という。 ただ、コロナ前(2019年)と比較すると4~6月は35%程度、7月~8月上旬でも半分程度とのことだ。また、「5月までは個人旅行が中心だったが、6月以降団体旅行も急速に復活しつつある。家族連れの姿も多く見られ始めた」という。こうした日本からの観光客にスカイラインに乗ってもらうというのはどうだろう。日本からの航空便が到着するのは午前中で、ホテルにチェックインするまでには時間があるため、この時間を活用してスカイラインの乗車体験を観光ツアーに組み込んでもよいかもしれない。

サトウキビ列車を復活のシンボルに

マウイ島で運行終了したサトウキビ列車はいつになるかもわからない将来の運行再開に備え倉庫に眠っているのであろう。線路や駅舎は、今回の山火事でどうなったのか。まだ、情報は明らかになっていないが、もし、運行可能な状況だったら、ぜひ復活してほしい。

被災していたJR山田線(釜石ー宮古間)が復旧し、三陸鉄道が1つにつながった(2019年3月23日、編集部撮影)

日本の三陸鉄道が東日本大震災の復興のシンボルとなったように、サトウキビ列車にも果たすべき役割があるはずだ。サトウキビ列車とスカイラインという新旧の列車がハワイの観光のシンボルになる日がくることを願いたい。

テイラー・ミホコ ハワイ在住・フリーランスライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Mihoko Taylor

東京都生まれ。大妻女子大学を卒業後、日本電気株式会社へ入社。その後、ハワイ観光局日本支局に勤務し、ハワイ観光の促進に携わる。1997年に生活の拠点をハワイに移し、ラジオのアナウンサー、ラジオ番組DJや、イベント司会、メディア関連の仕事に携わる。ハワイ在住26年目。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT