サトウキビ列車と高架路線「新旧ハワイ鉄道」の今 ホノルルの新規開業後、マウイ島では山火事

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マウイ島西部の歴史を少し振り返ると、19世紀には、ハワイの中でいち早く鉄道が走っていた。サトウキビを運ぶため、そして、そこで働く労働者の移動手段として運行が開始されたといわれているサトウキビ列車は、シュガーケイントレインと呼ばれ、当時の旅客輸送手段でもあったとされている。

サトウキビ産業の衰退につれ、この列車も運行を停止したが、マウイ島を訪れる人々のために、観光用として運行を開始。世界的にも有名なホテルが立ち並ぶリゾート地カアナパリとラハイナを結ぶこの観光列車には子供から大人までたくさんのファンがいた。ただ、それも2016年の12月ホリデーエクスプレス(期間限定)の運行を最後に終わりを告げた。

スカイラインの利用状況は?

サトウキビ列車の運行終了と入れ替わるかのように、オアフ島では高架鉄道スカイラインが登場した。一部開通してから8月末で2カ月が経つ。この電車は、沿線住民の日常的な移動手段となることを第一の目的として造られているが、実際には当初の考えとは違った結果になっているようだ。日常的な移動手段として利用している人は何人くらいの数なのだろうか。

開業初日である6月30日から7月4日までの無料乗車期間の利用客数は5日間合計で7万1722人。1日当たり1万4000人が利用したことになる。7月5日から有料での運転が始まり、7月5日から9日までの5日の利用客合計は1万8000人。1日当たり3600人だ。無料期間中の4分の1に減ってしまった。1列車当たりに直すと、20人程度しか乗っていない計算になる。2カ月を過ぎた現在はどうなのか。ホノルル市交通局に問い合わせているが、この原稿を執筆している段階で回答は得られていない。

6月30日にホノルルで開業した「スカイライン」(編集部撮影)

先日、スカイラインに乗車したときに、西オアフに住んで大学へ通う1人の日本人女性にスカイラインの中で会った。彼女は自家用車を持たず、通常は市バスを利用しているとのことだったが、日曜日の午後久しぶりにいつもとは違う町へ出かける交通手段として週末にスカイラインを利用することもあると話していた。西オアフには、ハワイ大学ウエストオアフ校とリーワード・コミュニティー・カレッジがある。この2つの学校で学んでいる生徒総数は約1万人。各国からの留学生も多くいる。学生の間で少しずつスカイラインの利用者が増えていることは間違いないだろう。

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