アメリカの「脱中国」実はまったく進んでなかった ベトナム、メキシコに経由地が変わっただけ

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アメリカと中国のデカップリング(切り離し)を支持する人々は、中国からの脱却は例外なく良いことだと主張する。だが、サプライチェーンの再編は別の結果ももたらしているようだ。論文では、サプライチェーンのシフトは商品価格の上昇と関連していることが確認されている。

論文著者の計算によると、中国からの輸入シェアが5%低下したことで、ベトナムからの輸入価格は9.8%、メキシコからの輸入価格は3.2%押し上げられた可能性がある。さらなる調査が必要とはいえ、この影響は消費者物価の上昇(インフレ)に若干寄与している可能性があると著者らは述べている。

「コストに影響を与える可能性が高いというのが私たちの第1の警告で、(中国)依存度を低下させる可能性は低いというのが私たちの第2の警告となる」。アルファロは取材に対し、そう語った。

ベトナムやメキシコに深く入り込んでいる中国

この研究は、カリフォルニア大学サンディエゴ校教授キャロライン・フロイントと、世界銀行および国際通貨基金(IMF)のエコノミストが近く発表する論文の結果とも共鳴する。トランプ政権が中国からの特定の輸入品目に関税を課すようになってから貿易がどのように変化したかを調査した研究だ。

その論文によると、関税は貿易に大きな影響を及ぼし、アメリカの対中貿易の絶対額が増加し続ける中でも、関税対象商品のアメリカへの輸入を減少させた。

このように中国が失った市場シェアを獲得できた国々は、エレクトロニクスや化学製品など関税の対象となった製品の製造にすでに特化していた国々や、中国のサプライチェーンに深く組み込まれ、中国と盛んに貿易を行っている国々だった。そこには、ベトナム、メキシコ、台湾などが含まれる。

「こうした国々は、まさにアメリカに輸出している製品カテゴリーで中国からの輸入を増やしている」とフロイントは言う。

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