中国人観光客の「爆買い」期待する人の意外な盲点 あからさまなマナー違反をする人も今回は減る

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じつは当時の中国人団体客の中には、代購をするための商品買い付けを目的に訪日しているケースが少なからずあった。観光目的の周遊ツアーではなく、転売目的の買い付けツアーで日本に来る人がたくさんいたのだ。

しかし現在は、日中両国で法律やルールが変更され、代購に対する規制が強化されている。少なくとも個人では、代購をすることが難しくなっている。この点でも、中国人客による商品の買い占め行為は、従来のようには行われないだろう。

加えて、これから日本を訪れる中間層の中国人団体客は、以前ほどは来日時に買い物をしないと思われる。国内経済が急速に悪化している影響で、総じて旅行に使えるお金の額が減ることが予想されるからだ。

また最近中国では、お金をかけずに街をぶらぶら歩き回り、没入型体験を楽しむ「シティウォーク」が旅行のトレンドになっているという。旅行時の消費性向が「モノ消費」から、体験を重視する「コト消費」にどんどん移行しているのだ。この点でも、買い物に大金を使う人は以前ほど多くはないはずだ。

以上の理由から、2015年頃のような爆買いが再来することはないと言える。過度に爆買いを期待している人は、おそらく肩透かしを食らうことになるだろう。

マナー違反をする人が減る

最近、「中国人のマナーがずいぶん良くなった」という話を現地で暮らす日本人から聞くようになった。上海で10年以上暮らす知人も、「あからさまな交通違反をする人が減ったし、公衆の面前で怒鳴り合いをしたり、上半身裸で路上を歩き回ったりする人を見かけなくなった」と語る。

これは経済的に豊かになり、SNSの情報や海外生活の経験でグローバルスタンダードを知る人が増えたことが理由として大きいだろう。また街中に監視カメラが張りめぐらされ、ルール違反をすると顔や名前が晒される社会環境で生きていることも影響していると思われる。

とりわけ現代の若者は、公共の場での中高年者のマナー違反を苦々しく思っている人が多い。中国の若者はSNSを通してグローバルスタンダードをよく理解しているため、一部の中高年者の行為を見て「同じ中国人として恥ずかしい」という感情を痛切に抱くのだろう。

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