トヨタとマツダが環境・安全技術で提携拡大 日産ゴーン社長「まったくもってロジカル」

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5月13日、トヨタ自とマツダは、環境・安全技術分野などを軸とする提携拡大で基本合意したと発表した。今後、合同委員会を立ち上げ、具体的な提携内容を詰める。写真は同日、東京で合同記者会見に臨むトヨタの豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長(2015年 ロイター/Issei Kato)

[東京 13日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>とマツダ<7261.T>は13日、環境・安全技術分野などを軸とする提携拡大で基本合意したと発表した。燃料電池車(FCV)など次世代車技術で先行するトヨタと、「スカイアクティブ」と呼ぶガソリン・ディーゼル車の低燃費技術を強みとするマツダの間で、相乗効果を強化する中長期的な協力関係の構築をめざす。

今後、合同で検討委員会を立ち上げ、経営資源の活用や商品・技術の補完など具体的な提携内容を詰める。

トヨタの豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長は同日夜、都内で記者会見した。豊田社長は「今回の提携はもっといい車を作ることが最大の目的」と指摘。トヨタが導入を進めている車づくりの新しい設計手法「TNGA」にマツダのデザインやスカイアクティブ技術など「すべてが参考になる」と述べ、「学べる点がものすごくある」と語った。

小飼社長は「我々の商品をさらに高いところに引き上げたい」と話し、「従来の提携の枠組みを超えて、ともに創造し挑戦する」と意気込みを見せた。

一方、資本提携を行うかどうかについて、豊田社長は「トヨタは大きな財布ではない」として否定的な考えを示唆。小飼社長も「ない」と述べたが、将来的な可能性について、両社長は「仮定の話は控える」とした。

自動車業界では、世界的に環境規制が厳しくなる中、FCVなどの環境対応車の開発を迫られているが、その推進には巨額の投資が必要となる。一方、当面の市場ニーズとしては、従来型のエンジン車が主流であり、特に新興国ではガソリン・ディーゼル車の需要が根強い。両社がそれぞれ得意な技術を相互に補完することで、開発費の負担軽減や開発スピードの迅速化も期待できる。

両社はすでに一部の技術・生産分野で提携関係にあり、これまではトヨタがマツダにHVの技術を提供。マツダはメキシコ工場で、今夏からトヨタ向けに小型ガソリン車を生産することを決めている。

同日、決算会見を開いた日産自動車<7201.T>のカルロス・ゴーン社長は、トヨタとマツダの提携拡大について「まったく驚きはない。まったくもってロジカルだ」との印象を述べ、今後も技術を軸とした合従連衡の動きは広がる」との見方を示した。

 

(白木真紀)

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