世界の主要市場でEV(電気自動車)シフトが本格化したことも、中国の輸出拡大の追い風になった。中国は(中央政府の主導で)早くからEVの関連産業の育成に力を注ぎ、(電池材料から完成車に至る)一気通貫のバリューチェーンを構築。圧倒的なコスト優位を確立した。
中国製EVの輸出先は、現時点ではヨーロッパと東南アジアが中心だ。中国汽車工業協会のデータによれば、国別の輸出台数の上位3カ国はベルギー、イギリス、タイとなっている。
(訳注:ベルギーにはヨーロッパ最大の自動車荷揚げ港があり、そこで上陸したクルマがヨーロッパ各国で販売されている)
国別ではロシア向けが最大
EVだけでなくエンジン車の輸出台数も増えている。そして、増加分の多くが実はロシア向けだ。中国汽車工業協会のデータによれば、中国からロシアへの2023年1月から5月までの自動車輸出台数は28万7000台に上り、国別で最大の輸出先となった。
その裏には、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響がある。ヨーロッパ、アメリカ、日本の自動車大手がロシアから相次いで撤退した後、中国メーカーが市場に生じた空間を埋めているのだ。
とはいえ、ロシア向けの輸出増加が今後も続くかどうかは微妙だ。「特殊な状況下での短期的な商機であり、将来に向けたリスクがないとは言えない」。財新記者の取材に匿名を条件に応じた自動車業界の専門家は、そう本音を語った。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月8日
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