中国の「自動車輸出」、日本を追い抜き世界最大に 2023年上半期は234万台、急増の裏に複数の要因

✎ 1〜 ✎ 67 ✎ 68 ✎ 69 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

世界の主要市場でEV(電気自動車)シフトが本格化したことも、中国の輸出拡大の追い風になった。中国は(中央政府の主導で)早くからEVの関連産業の育成に力を注ぎ、(電池材料から完成車に至る)一気通貫のバリューチェーンを構築。圧倒的なコスト優位を確立した。

中国製EVの輸出先は、現時点ではヨーロッパと東南アジアが中心だ。中国汽車工業協会のデータによれば、国別の輸出台数の上位3カ国はベルギー、イギリス、タイとなっている。

(訳注:ベルギーにはヨーロッパ最大の自動車荷揚げ港があり、そこで上陸したクルマがヨーロッパ各国で販売されている)

国別ではロシア向けが最大

EVだけでなくエンジン車の輸出台数も増えている。そして、増加分の多くが実はロシア向けだ。中国汽車工業協会のデータによれば、中国からロシアへの2023年1月から5月までの自動車輸出台数は28万7000台に上り、国別で最大の輸出先となった。

輸出急増の要因の1つは、ロシア市場向けのエンジン車の輸出拡大だ(写真は奇瑞汽車のロシア向けウェブサイトより)

その裏には、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響がある。ヨーロッパ、アメリカ、日本の自動車大手がロシアから相次いで撤退した後、中国メーカーが市場に生じた空間を埋めているのだ。

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ、ロシア向けの輸出増加が今後も続くかどうかは微妙だ。「特殊な状況下での短期的な商機であり、将来に向けたリスクがないとは言えない」。財新記者の取材に匿名を条件に応じた自動車業界の専門家は、そう本音を語った。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月8日

財新編集部

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事