「日経平均3万円」にこだわる人が見落とす大局観 8月下旬以降の相場を予測する「6つのポイント」
ただ、社会主義政策は状況を一気に変える力を持っている。
日本が1980年代に遂げた「大躍進」を、ソフトランディングを経て次の発展につなげられなかったのはなぜか。それは不動産融資などの「総量規制政策」に代表されるように、力任せの「負の社会主義政策」を取ってしまったからだ。
習近平政策がどう変わるのかは、日本にとっても非常に重要だ。だが、視点を変えれば、アジア向け投資の中心対象が中国から日本に移っているというプラス面もある。
「のんきな父さん」(最近は若干その余裕がなくなったが)を装って、本当は恐ろしいアメリカの目が中国に向いている今、本来は日本の大チャンスといえる。もっとも、岸田政権がこれらをうまくさばければの話だが……。
ジャクソンホール会議の結果に関係なく「買い」で対処
(6)アメリカ経済をどう見たらいいのか
ポイントの6つ目にしたが、やはり最重要項目はアメリカ経済への認識だ。
同国の7月雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比18.7万人増となり、市場予想や6月実績を下回った。一方、7月の失業率は3.5%と、予想や6月実績を下回り堅調だった。また、7月の平均時給にしても前年比+4.4%と予想を上回り、6月に一致した。インフレの動向を見るうえで、平均時給の高止まりは気になるものの、ほかの数字は悪くない。
7月の消費者物価指数は前月比+0.2%と、予想どおり6月と一致した(前年同月比は+3.2%と6月の+3.0%を上回ったが、予想の+3.3%は下回っている)。さらに、7月小売売上高や8月NY連銀製造業景況指数、7月鉱工業生産指数、7月設備稼働率などを見ても、同国経済が景気後退に陥ることなく、ソフトランディングする可能性がますます高まっている。
24~26日のジャクソンホール会議では、これらのデータを集約して当局の判断が示される。もちろん、最大のヤマ場は25日のジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の講演だ。
これからの金融政策はその都度データを分析して決まると表明しているFRB。そのデータの数字をまとめて言葉に表し、世界に示すのがジャクソンホール会議で、世界の主要国はそれを受け入れながら政策を決めていく。ここで世界の方向が決まる。
どんな結論が出ようとも、あるいは、株価がどんな反応を見せようとも、筆者はここが9月相場に対する買い場だとみる。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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