「日経平均3万円」にこだわる人が見落とす大局観 8月下旬以降の相場を予測する「6つのポイント」
(4)1ドル=145円超の円安をどう見るか
18日現在の為替は1ドル=145円超で、再びドル高円安が進んでいる。これまでなら円安=日本株高となったのに、今回は株高になっていない。「これは日本売りの兆候であり、株価にマイナスだ」と見る筋も増えている。
だが、円安はやはり輸出企業にはプラスだ。海外から、とくにアメリカからの批判もなく、日本にとってはチャンス。円安で稼げるだけ稼げばよいだけだ。
「2つの中国」を切り盛りするのは容易ではない
(5)中国の影響をどう見るか
中国の7月の工業生産は前年同月比+3.7%と、6月の同+4.4%を下回った。また小売売上高も同+2.5%と、やはり6月の+3.1%を下回った。
ゼロコロナ政策を解除にしたにもかかわらず、同国の経済回復は鈍いままだ。中国政府は15日に突然「若者の失業率」発表を「一時的に取りやめる」と発表した。直前の6月の16~24歳の失業率は21.3%だった。北京大学の某副教授の話では、定義によっては46.5%の可能性もあるとのことだ。
とてつもない数字だが、「中国という国は2つある」といわれる。1つは、鄧小平氏が掲げた改革開放政策(富める者から富め)に乗った「3億人の国」。もう1つは、それに乗れなかった「10億人超の国」だ。
これではさすがにいつかは国が分裂すると感じたか、あるいは長期安定政権を確保した習近平国家主席が尊敬する毛沢東氏に倣ったか、数年前からは「共同富裕政策」(社会の調和と安定)に転換している。
簡単に言えば、アリババグループの創業者であるジャック・マー氏など「3億人の富裕層」を押さえる一方で、10億人超の中に「大きな中間層」を作る計画だが、今のところはうまくいっていない。むしろ、土地バブルは崩壊し、肝心要の経済成長力も停滞が目立っている。
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