「私は5月に関西のメーカーから内定をいただきました。ただ、就職活動は大学院に進学してすぐに始めなければならず、これほど研究との両立が難しいとは思っていませんでした。それだけでなく、文系の大学院生が、企業にあまり理解されていないと感じる場面も多々ありました」
Aさんの1日の過ごし方は、基本的には次のようなスケジュールだ。
「朝9時頃に大学に行って、午前中に修士論文に取り組みます。午後からはティーチングアシスタントとして、学部生のサポートや、教授のお手伝いなどをします。夕方に研究室に戻ってきて翌日の準備をするほか、大学院には社会人学生が多いため、授業が夜9時頃まである日も多いです」
修士課程に進学すると、通常は2年かけて修士論文に取り組む。Aさんは入学してすぐの6月に学会での発表を経験した。もちろん、大学院での研究が大変なことは、進学する際にある程度理解していた。研究がしたくて進学したこともあり、やりがいもある。しかし、想定外だったのは就職活動のスケジュールだった。
「進学してすぐに会社説明会やインターンの募集が始まりました。インターンに参加できなければ本選考にうまく進めないという話も聞き、準備せざるをえませんでした。内定をいただいたメーカーのほか、IT企業など3社のインターンに参加しました」
平日開催のインターンが研究活動に支障
インターンは学生が企業で就業体験をするもので、学部の3年生の夏から冬にかけて実施されることが多い。文系の大学院生の場合は、修士課程1年の時に学部生と同じ条件で参加しなければならず、それが思わぬ負担を強いられることになる。なぜなら、インターンは平日に行われるからだ。
「インターンも会社説明会も、平日が基本です。朝9時から夕方5時までなどその会社の勤務時間と同じ時間で実施されますので、当然ながら研究室にいる時間を削らなければなりません」
Aさんの指導教授は就職活動にも理解があり、打ち合わせの時間を少なくするなど配慮をしてもらえたという。しかし、そうではないケースも多い。
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