岸田政権の支持率「危険水域」で早期解散は"困難" 党・内閣人事について与党内で飛び交う臆測

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その中で、山口氏とはマイナカード問題などでの緊密な連携を確認。ただ、公明からの入閣人事については、山口氏が「首相にお任せする課題」として、互いに踏み込まなかった。一方、岸田首相と親密な関係の遠藤氏は、7月25日の記者会見で「(首相とは)若干未来の話をしたが、それがすぐ衆院解散、人事がどうのということではない」と言葉を濁した。

自民党有力幹部は、この一連の会談について「人事について反応を探るとともに、反岸田勢力の台頭を牽制するため、懐柔と取り込みを狙ったものだ」と解説した。

岸田首相はこうした政治的会談の最中の7月29日に、66歳の誕生日を迎えた。その前日には官邸で記者団に対し「多くの方々に支えられて年を重ねることができた。今年の夏は改めて政権発足の原点に戻り、現場の声、さまざまな声を聞く取り組みを進めている。こうした声を大事にしながら、結果を出すべく努力を続ける」と生真面目な表情で語った。

これに関し、岸田首相周辺は「政界では、マイナカード問題や原発処理水放出などで『どうする文雄』が注目されるが、本人は『とにかく明るい岸田』で、政権危機を乗り切る構えだ」(岸田派幹部)と解説。ただ、「難問は人事で、木原氏の処遇も含め、ぎりぎりまで状況を見極めざるをえない状況だ」(同)と首をかしげる。

政権危機と自信ありげな言動の「ミスマッチ」

そこで注目されるのが「岸田首相のなお自信ありげな言動と、政権を取り巻く危機とのミスマッチ」(自民長老)だ。ここにきての岸田首相の言動には「自信と余裕がにじむ」(側近)のは事実。「政権運営上は『どうする文雄』だが、実態は『とにかく明るい岸田』にしかみえない」(同)からだ。

というのも、各種世論調査での支持率続落で「岸田政権は末期症状。来年9月末の総裁選までたどり着くのは至難の業」(安倍派幹部)との声が広がる一方で、多くの与野党幹部は「岸田首相の言動を注視して今後の対応を模索する」(閣僚経験者)のが常態化している。

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