福島原発事故収拾を任された英雄たちの真実、7次・8次下請け労働者もザラ

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 「地元の先輩に、誰でもできる即金の仕事と紹介されて連れていかれたのが原発だった。健康診断も採用面接もなく、安全教育といえば初日に見せられたビデオぐらいだった」。かつて、ある原発で働いていた男性(33)は振り返る。

「日給も9500円と安く、当初の話と違ったが、それ以上に雇用契約書もなければ、社会保険も未加入だった。ケガでもしていたらと思うとゾッとする」。
 
 「末端の労働者が日当1万円というのは、30年前から変わらない水準だ」。原発労働者を追い続けてきた、フォトジャーナリストの樋口健二氏は語る。樋口氏によれば15年前の段階で、東電は一人7万円の日当を出していたという。ピンハネ率は実に8割超に至る。
 
 「末端労働者はホームレスや失業者など社会的弱者が多くを占める」(樋口氏)とされる。その最たるものが未成年者だ。

88年、関西電力高浜原発で少年3人が作業員平均約5倍の被曝量となる危険作業に従事させられていた。原発管理区域内では未成年者の労働は禁じられているが、少年の住民票を偽造し、斡旋したのは京都府内の暴力団員だ。

4次下請けの彼らだけで3割超をピンハネしていた。また08年にも東電、東北電力の3原発で15歳から17歳の少年6人が働かされていたことが判明している。

こうしたずさんな職場管理にもかかわらず、放射線起因疾病での労災認定数は08年度までの32年間で48件(原子力資料情報室調べ)と極めて少ない。これは「日本では労災対象となる具体的な疾病の例示が、白血病など5種と厳しく限定されていた」(原子力資料情報室スタッフの渡辺美紀子氏)ため。09年に2種加えられたがまだ限定的だ。


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