不眠症やがんにアプリを処方する医療の新潮流 サスメド上野太郎はデジタル治療を広げる医師

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井上:ビジネスモデルはどのようなものでしょうか。アプリ事業と治験効率化事業の2本柱のそれぞれについてお聞かせください。

上野:治療用アプリは、まさに医薬品や医療機器のビジネスモデルです。

基本的には、医療機関で医師が処方して、患者さんが使う。保険収載されるので、3割は自己負担ですが、残りの7割は健康保険でカバーされます。流通も含めて、医薬品とか医療機器と基本的に変わらないですね。

弊社の場合は自販をしておらず、塩野義製薬さんと販売提携契約を結んでいます。塩野義製薬さんは感染症、うつ病とか中枢神経系の領域が強く、彼らのMR(医薬情報担当者)さんを通じて全国の医療機関にお届けしています。

井上完成品だけではなく、アプリ開発のプラットフォームも構築されていますよね。

治療用アプリの開発支援も

上野:新しい治療用アプリを大手のベンダーに外注すると、1億円を超えるような金額が請求されます。

それが、システムにおけるソースコードをほとんど書かずにシステム開発を行うというローコードツールのようにすれば、ITベンダーでなくても自分でアプリを開発できるようになる。そこに先ほど申し上げたDTx全般に使える技術・知財を組み込んである。

だから私たちは、治療用アプリのプラットフォームとして、モジュールの組み合わせでアプリが作れるツールと、それと連動した管理アプリを提供しています。ゼロからアプリを作らなくても新しい治療用アプリが開発できるので、外部のパートナーさんとそれを使って開発を進めています。

井上:これは医療機器の開発支援ですね。キャッシュポイントはどのようになっていますか。

上野:例えば杏林製薬さんと、耳鳴りに対しての耳鼻科の治療用アプリを共同開発しています。

共同開発契約締結時点での1億円を含むマイルストーン契約となっていて、さらにロイヤルティに関しても定めているので、販売成果に連動した収益も私たちに入ってきます。

この契約のお手本はペプチドリームさんです。彼らはペプチド創薬のプラットフォームをつくり、それを大手の製薬会社さんと新薬の共同開発をして、マイルストーン契約を結んでいます。このビジネスはペプチドリームのプラットフォームのDTx版みたいなものです。

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