不眠症やがんにアプリを処方する医療の新潮流 サスメド上野太郎はデジタル治療を広げる医師

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井上:もう1つの柱である治験効率化事業「サスメドシステム」のビジネスモデルについてお聞かせください。

上野:治験のモニタリングの市場規模は約1000億円で、そこが私たちのターゲット市場となります。

製薬会社に直接サービスを提供することもあれば、治験を支援するCROさん経由で提供する場合もあります。現在実施している治験でも、製薬会社さん、CROさんと私たちがそれぞれ3社で契約をしており、製薬企業から研究開発費として支払っていただいています。

治験の効率化が実現すれば、新薬がちゃんと患者さんに届くような社会になっていくと思います。

一昔前は、新薬の開発は大手製薬企業が担ってきたのですが、海外では創薬ベンチャーによるものがすごく増えてきました。ベンチャーは財務的な基盤がそこまで強固ではないですし、グローバルのネットワークも十分でない。だから、海外では承認されていても、日本で承認されていない医薬品の割合がすごく増えています。

私たちは治験の効率化を進めてこれを是正したいと思っています。

アメリカ先進企業の失敗に学ぶ

井上:グローバル展開はいかがでしょうか。

上野:治療用のアプリを日本で成功させれば、世界的にもトップランナーになり得るのではないかと思っています。

DTx先進国のアメリカでは、ピアセラピューティクスという、DTxのスタートアップ企業がNASDAQ上場したのですが、経営破綻してしまいました。

その原因の1つは保険制度の問題で、保険収載があまりうまくいかなかったようです。日本とは異なり、アメリカの場合は保険会社ごとに別々なので、それぞれの会社で保険適用される必要がある。そこが実はかなり苦労したようです。医療機器として承認されても保険に収載されないと使われません。

もう1つは、彼らは販売を自分たちでやろうとした。たくさんのMRを社内に抱えて、自分たちで売っていったんです。保険収載が進まず、売れないとなると、赤字が累積します。

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