実践の経営学を探究する井上達彦教授がディープテックを訪ね、ビジネスモデルをとことん問うてゆく。世界に羽ばたくイノベーションの卵に迫る。
井上:御社は医療機器としてのアプリ、いわゆるプログラム医療機器を開発していらっしゃいますね。医療機器承認された先駆的な事例の一つだと伺っています。
睡眠薬か、診療に数十分か、ではなく
上野:2014年の薬機法の改正の時点で、アプリ自体が治療を目的とする医療機器として認められるようになりました。アプリを使って患者さんの病気の治療をするという医療機器です。私たちも、不眠症の治療用アプリを開発し、承認をいただきました。
不眠症に対しては、認知行動療法が推奨されているのですが、睡眠薬が処方されることが多いんです。待合室で患者さんが列をなしている状況で、1人の患者さんの診療に数十分の時間を費やすのが現実的ではないからです。
しかしアプリであれば、睡眠薬に頼らずに短い診療時間でも、認知行動療法が実現できる。
井上:それは素晴らしいですね。他にどのようなものを開発されているのでしょうか。
上野:複数開発しています。具体的には、がん患者さん向けのもの、腎臓病の患者さん向けのもの、あとは耳鼻科の領域での治療アプリなども開発し始めています。
井上:がん患者さん向けのアプリというのは、どのようなものなのでしょうか。
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