479万円の「セレナ LUXION」は誰のための車か 他のミニバンとは異なる最上級グレードの本質

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電動調整機能が追加されるといった誰でも感じられるような上級化はなく、むしろライバルの上級仕様には備わる2列目シートヒーターなどもオプション設定なのだから潔い。専用のシート表皮や専用の内装トリムなどで上質化しているものの、わかりやすく上級感を高めたグレードでないことは間違いない。

合皮のシートやブラック木目柄パネル、アンビエントライトなどで上質感を高めるルキシオンのインテリア(写真:日産自動車)
合皮のシートやブラック木目柄パネル、アンビエントライトなどで上質感を高めるルキシオンのインテリア(写真:日産自動車)

では、ルキシオンの価格が高い要因はどこにあるのか。それは、ほかのグレードには装着できない「プロパイロット2.0」を標準装備として組み込んでいることに尽きる。

「プロパイロット」といえば日産の幅広いクルマに搭載され、高速道路で車線の中央を走るようにハンドル操作をアシストする機構だが、「2.0」となると意味合いが異なる。

一般的なプロパイロットは作動中、ハンドルに手を添えることが求められるのだが、2.0ではハンドルから手を離しての運転、いわゆる“ハンズオフ”が可能となるのだ。それも低速域に限らず、高速道路にも対応する。

ハンズオフでの走行イメージ(写真:日産自動車)
ハンズオフでの走行イメージ(写真:日産自動車)

上限速度は、実際に車載のカメラで制限速度標識を読み取り、その制限速度(正確にはドライバーの判断において制限速度+10km/h)となる。

手放し運転のメリットが大きいことは、実際にこの機能を使って運転してみれば明らかだ。

設定速度内で前を走るクルマに合わせて速度を自動調整するアダプティブクルーズコントロール機能により、速度管理(アクセル操作)から解放されるうえに、手を離して運転することでリラックスできるのだからその先進性を実感できる。

プロパイロットの作動状況も表示するヘッドアップディスプレイ(写真:日産自動車)
プロパイロットの作動状況も表示するヘッドアップディスプレイ(写真:日産自動車)

この機能は感覚的には自動運転だが、分類上は自動運転ではない。だからドライバーは周囲やシステムの作動を監視し、状況に応じて自らの運転操作を行う必要がある。とはいえ、これでもドライバーの疲労低減効果は明らかで、長距離移動時の疲労の少なさに驚かされる。

ミニバン初の「高速道路で使える」ハンズオフ

プロパイロット2.0を実際に高速道路移動で使ってみて感じたのは、ライントレース性(車線追従性)がかなり正確で、ハンズオフに関する不安をまったく感じないこと。「実用的な機能なのか」と問われれば、迷わず「使える機能だ」と断言できる。

ハンズオフ機能に関しては、ノア/ヴォクシー、そして新型アルファード/ヴェルファイアにも用意されていることをご存じの方もいるだろう。しかし、それらに搭載されているのは、上限速度が40km/hとなる渋滞用の簡易版で、制限速度まで機能が働くセレナとは使える速度領域が大きく異なる。

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