AIは今後「ドラえもん型」を開発すべき納得の根拠 きちんと認識すべき「生成AIの本質」とその怖さ

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山本龍彦氏と栗原聡氏
山本龍彦・慶應義塾大学法務研究科教授(左)と栗原聡・慶應義塾大学理工学部教授
インターネットの普及によって社会が情報過多になる中、人々の関心や注目の度合いが経済的価値を持つ「アテンション・エコノミー」をめぐる議論が活発化しています。「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」現象などが問題視されることも少なくありません。
さらに対話型AI「ChatGPT」をはじめとした「生成AI」の発展により、アテンション・エコノミーはどうなっていくのでしょうか。憲法・情報法を専門とする山本龍彦・慶應義塾大学法務研究科教授と、人工知能を専門とする栗原聡・慶應義塾大学理工学部教授の対談の後編は、アテンション・エコノミーの課題と「情報的健康」についてです。
前編:「生成AI」今から活用したい人が知るべき驚く盲点

現段階のAIは使い勝手がいい代物ではない

山本龍彦(以下、山本):生成AIを効果的に使えるかどうかはプロンプトのつくり方によるとのことでしたが、今後、それを補助するAIは生まれてくるでしょうか。例えば、こちら側の感情やニーズをうまくくみとって、自動的に文章化してくれるような機能が考えられます。

栗原聡(以下、栗原):僕らもそのような研究をやっていますが、徐々にそうなっていくと思います。誰でも文章を入れるだけで“使えてしまう”ので、「人工知能の民主化だ」という言われ方もしていて、その認識は間違ってはいないものの、現段階の生成AIは、実はそんなに使い勝手がいい代物ではありません。

今後はおそらく「御用聞きAI」のようなイメージのものができていくのだと思います。ユーザーが不十分な入力をすると、「それじゃわからないから、もうちょっと違う情報はない?」のように答えるか、きちんと整ったプロンプトをつくって入力してくれる。そういう形になっていくのだろうとは思います。

山本:そこに、生成AIがアテンション・エコノミーの救世主になる可能性があるのですかね。例えば、生成AIの長い回答を15秒ほどの短尺動画にしてくれるようなAIが出てくると、アテンション・エコノミーと“整合的”ではあるけれど、少しまともな世界が訪れるかもしれない。

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