天才なら殴ってもいい?顔面を殴打、壁に叩きつけ…「世界最高のシェフ」が暴力告発で辞任の衝撃も"氷山の一角"の実態

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デンマークの名店Noma(ノーマ)で起きた騒動が料理界を揺るがしています(写真:レネ・レゼピ氏のInstagramより)
世界のベストレストランの栄冠を5度も手にし、ミシュランの三つ星も獲得したデンマークの名店「Noma(ノーマ)」。その共同創業者であり、「新北欧料理」の提唱者として2012年に米『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれたレネ・レゼピ氏が、26年3月、長年にわたる部下への暴力とハラスメントを告発され、自ら辞任するという衝撃的な事態が起きた。料理界を揺るがしたこの一件は、しかし、決して一人の天才シェフが引き起こした例外的な事件ではない。厨房という特異な空間が長年抱えてきた構造的な病理の、氷山の一角に過ぎないのだ。

世界最高のシェフ「従業員の顔面を殴打」

皮肉なことに、レゼピ氏は2015年に書いたエッセイで「キャリアの大半を通じて、自分はいじめっ子だった。怒鳴り、人を押しのけてきた」と告白している。しかし、その後もメディアはレゼピ氏を「革命的な天才」として繰り返し賞賛し、スポンサーは群がり、授賞式は続いた。

22年のインタビューでは、「誰かを殴ったことはない」と断言し、メディアもそれを鵜呑みにしてきた。告発が表面化するまでの10年間、食のメディアやジャーナリストもまた、沈黙の共犯者の一端を担っていたと言わざるを得ない。

その欺瞞が崩れ去ったのが、26年3月7日だ。ニューヨーク・タイムズが報じた調査報道が、世界の美食界を震撼させた。Nomaの元スタッフ35人以上の証言をもとにした記事には、厨房内において極度のプレッシャーと恐怖による支配が常態化していた様子が描かれている。

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