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「お金の起源は物々交換」信じる人が知らぬ大欠陥 もっともらしい説だが「歴史的事実はない」

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  • 中山 智香子 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
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経済学者が固執する物々交換説は、こう言ってはなんですが、とても個人主義的ですよね。「私が必要だ」「私が欲しい」「私が、私が……」という個人的な欲求を満たせば、「ハイ、終わり」。相手のことは関係ありません。

それに対して、貸し借りは、相手との関係があってこそ成立します。モノを貸し借りしたら「ハイ、終わり」ではなく、むしろ「IOU」という人間関係がスタートして、返し終わるまで関係は続きます。終わりではなく、始まりなのです。

信頼がおカネをおカネにする

最初に借用証書を手渡された人は、「本当にこんなもので大丈夫?」と不安だったかもしれません。

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でも、それを受け取ったのは、相手を信頼したから。さらに「これは次の機会にも使えるものだ」と信頼する人がいて、その信頼に応えてモノを渡す人がいた。その積み重ねで借用証書への信頼感が築かれていき、おカネに発展しました。

おカネがおカネとして成立するためには、「これはおカネとして通用する」と持続的に信頼されなければなりません。

「この借用証書を持っていけば、大麦10袋と換えられる」と思わせる力、つまりはそれを通用させる人間関係が、明日も明後日も、1年後も有効であると、みんなが信じていなければ、おカネはおカネとして通用しないのです。

こうして考えてみると、おカネの見方が変わってきませんか。おカネは、ともすれば血も涙もないドライなもの、人情とは対極の存在だと思われがちですが、実はきわめて人間くさいものなのです。

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