前代未聞「君たちはどう生きるか」に学ぶ4つの事 スタジオジブリ「宣伝ナシ戦略」をどう見るべきか

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近年、映画に限らず、口コミがヒットの要因となっていると言われる。特に、ポジティブな口コミの連鎖が起きることが、潜在顧客を劇場に足を運ばせる動機付けとなっていると言われている。

上記のことを考えると、「君たちはどう生きるか」の初動の好調は、予想外だったと言ってもよいだろう。

「君たちはどう生きるか」の初動はなぜ好調だったのか?

「君たちはどう生きるか」成功の理由は他の記事でも語られている。

「君たちはどう生きるか」"NO宣伝戦略"の成功理由~事前情報のなさが生み出した新鮮な感動体験~

事前情報のなさが作品への渇望感を生み、新鮮な気持ちで作品を鑑賞する環境を作っているというのは紛れもない事実であっただろう。

情報過多の現代においては、逆転の発想で、むしろ発信する情報を絞ることで、行動喚起を促すことができる場合がある。

実際に、映画やドラマのような映像作品に限らず、村上春樹氏の新作小説やApple社の新商品など、十分な知名度、強いブランド力、ロイヤルティ(忠誠度)の高いファンを獲得している商材やコンテンツにおいては、情報が自走するため、広告・宣伝への依存度を下げることが可能になる。

忘れてはならないのは、本作は作品の内容以外にも、話題になる要素は多数存在しており、実際に公開後にはさまざまな情報が飛び交っているという点である。

「10年ぶりの宮崎駿監督作品」というだけでも話題性は十分であるが、声優は菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉――と豪華メンバーを取り揃えているし、主題歌は米津玄師が歌っており、これらが話題の増幅を後押ししている。

上記以外に、吉野源三郎氏の同名(原作とは言えない)の小説との関係性も話題になっている。

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