また、専用超高性能サーバーの展開は、消費者に体験を広げるためだけであれば、多数あるサントリー系列の料飲店から始めればいい。しかし、あえてそうしない点から消費者に向けた狙いだけでない側面も伺える。系列での展開はいわば「閉じた世界」だ。他の店舗で成功すれば、「ぜひ我が社の店舗にも」ということになり、大きな広がりが期待できる。
専用超高性能サーバー設置1号店は1月に東京・新橋にオープンしていて、「売り上げは計画比で50%増のペースで推移している」というから、恐らく各社からのオファーも数多く舞い込んでいるに違いない。しかし、現在のところサーバーは手作組み立てで大量生産はできないようだ。料飲店にとって希少性が高い存在になっていることだろう。
ウイスキー、酒類に限らず、企業やマーケターは様々な仕掛けによってブームを起こすことを狙っている。しかし、問題はその後なのだ。いかにブームを一過性のものにせず、定着させるか。そして、その仕掛けたブームの裏側にある真の目的を達成するかである。サントリーの、まさに深謀遠慮ともいえるハイボールと、今回の超高性能ハイボールサーバーによる息の長い取り組みからは学ぶべきところが大きい。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら