地下に駅前広場?「本開業」虎ノ門ヒルズ駅の全貌 ガラス張りのホームに発着する電車が見える

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虎ノ門ヒルズ駅は、2014年に「特定都市再生緊急整備地域」として虎ノ門周辺地区の交通結節機能強化などを図る計画が策定されたのを踏まえ、同年10月に整備計画が発表。2016年2月に工事が始まった。

既存の地下区間に駅を設けるため、開業時に造られたトンネルの側壁を撤去してホームを設置。その下に建設するコンコースの工事は、電車が走っているトンネルを下から支えながら直下を掘る「アンダーピニング工法」によって実施した。

工事中の虎ノ門ヒルズ駅
工事中の虎ノ門ヒルズ駅=2019年(撮影:大澤誠)
掘削工事中の虎ノ門ヒルズ駅
コンコースにあたる地下2階の掘削工事=2019年(撮影:大澤誠)

建設中の2019年に取材に応じた東京メトロの担当者は、この付近は柔らかく掘りにくい地質だと述べ、その中で「駅全長約150mのトンネル側部を丸々掘って、さらにトンネルの下も掘削するという例は数少ない」と工事の難しさを語った。

駅は2020年6月、同年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックに合わせ、暫定的な改札口を設けて開業。駅としての使用が始まった後も、線路の下ではコンコース整備のための工事が続いた。川上氏は「地下2階の拡幅に当たっては、日比谷線を運行しながら細心の注意を払ってきた」と話す。

「臨海部への玄関口」になれるか

駅前広場のステーションアトリウムがある「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は10月に開業予定。UR都市機構の轟氏は「より一層にぎわいのある駅になることを期待している」と語る。虎ノ門ヒルズ駅の1日平均利用者数は2022年度が約3万4000人で、周辺開発の進展により将来的には約8万人を見込む。

虎ノ門ヒルズ駅に発着する電車
ステーションアトリウムからは地下1階のホームに発着する電車が見える(記者撮影)

虎ノ門ヒルズは2014年、「立体道路制度」を活用して都道環状2号線と一体的に整備した「森タワー」の完成を皮切りに開発が進み、ステーションタワーの開業で完成形となる。

今後の課題は、駅や周辺整備の目的の1つである「交通結節機能」を発揮できるかだろう。駅と接続する虎ノ門ヒルズのバスターミナルには、臨海部と都心を結ぶ新たな交通機関として整備されたバス高速輸送システム「東京BRT」が発着する。BRTはコロナ禍により運行開始が遅れ、現在も本格運行前の「プレ運行2次」と呼ばれる状態だ。以前と比べればルート数や便数は増えたものの、中心となっているのは新橋駅発着の便で、虎ノ門ヒルズのバスターミナルが臨海部への玄関口の機能を果たしているとは言いがたい。

都心の新たな拠点となった虎ノ門ヒルズ。渋谷や新宿、品川など都内各地のターミナルで大規模再開発が進む中、「交通拠点」の1つとしても存在感を示せるか。拡張工事の完成で「本来の姿」になった虎ノ門ヒルズ駅はその役割を担っている。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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