本家アメリカが「新自由主義」を捨てて目論む復活 「バイデノミクス」はトランプ政策にそっくり

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バイデン大統領は6月28日、シカゴでの演説で過去のアメリカ政府の政策について「富裕層と大企業のために減税すべきだというトリクルダウン経済学は結局うまくいかなかった」「中西部などの地域でコミュニティーから尊厳や誇り、希望が奪われた」などと述べた。

レーガン政権が掲げた「レーガノミクス」以降の新自由主義的経済政策の結果、製造業で栄えていたアメリカ国内の工業地域が空洞化し中間層が衰退し、民主主義の危機につながっているというのである。そして製造業の国内回帰、インフラ強化などを柱とする自らの政策を「バイデノミクス」と名付けて支持を訴えた。

「トリクルダウン経済学」を批判

サリバン補佐官も4月下旬、自由貿易について「利益が働く人に届かず、中産階級は失速し、製造業コミュニティーは空洞化した。何十年にも及ぶトリクルダウン経済政策が経済的不平等の原因である」として、それまでアメリカが掲げてきた「ワシントン・コンセンサス」を否定し、「ニューワシントン・コンセンサス」を構築すると述べている。

2人が批判した「トリクルダウン経済学」とは、富裕者がより富かになると経済活動が活発になり、その結果、低所得や貧困者にも富が浸透していくという論理である。少しずつしたたり落ちるという意味の英語「トリクルダウン」という言葉が使われている。

安倍政権の経済政策を支持した一部の経済学者も、アベノミクスはトリクルダウンを目指しているとしていた。しかし、実際には期待したほどの効果はなく経済格差の拡大を招いただけとされている。

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