安倍政権以降、権力者の自己正当化がはびこる日本。今こそ野党は権力者の政策の誤りを批判すべきだ。
安倍晋三元首相が殺害されて1年となった7月8日の前後には、安倍政治の遺産に関する議論がメディアをにぎわせた。私にも負の遺産についていくつか言いたいことがある。それらをまとめれば、権力者が自らの間違いを絶対に認めず、自己正当化のためにうそを含めてあらゆる手段を取る風潮を広げたということだ。
一般に、権力者には自分の失敗を認めたがらない無謬性がある。失敗を追及する野党やメディアがいなくなると、権力者は独裁者になる。日本の場合、野党やメディアが自由に議論はできるので独裁の域には達していないが、安倍長期政権下では、自己正当化のための見苦しいうそやへ理屈が繰り返された。その典型は、「桜を見る会」をめぐるうその数々であった。
最高権力者の幼稚なまでの自己正当化を見て、さまざまな公的機関は安心して同様の自己正当化を重ねてきた。日本銀行は、黒田東彦前総裁下で効果を上げない異次元金融緩和に固執し、金融政策の正常化が困難な環境をつくり出した。経済産業省は、福島第一原子力発電所事故の検証がなおざりのままで、原発再稼働へ向け、ひた走る。マイナンバーカードに健康保険証の機能を移すという方針は、医療現場から強い反対を受け、国民の反対が強いにもかかわらず、政府は既定方針を変えようとしない。
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