JR東日本の技術「東海の駅」で実用化、その意味は? 系列ベンチャー企業が開発の無人決済システム
JR東日本とこの技術の関わりは2017年度にさかのぼる。同社が同年度に実施したスタートアッププログラムでサインポストの無人決済システムが最優秀賞に採択された。JR東日本は将来、駅ナカコンビニの店員のなり手が不足する時代がやってくるのではないかと危惧しており、まさに喉から手が出るほどほしい技術だった。
さっそく、JR東日本とサインポストは手を組み、JR赤羽駅での実証実験を経て2019年にTTGを設立した。2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅の駅ナカコンビニでこの無人決済システムが採用された。「海外では無人コンビニのAmazon Go(アマゾンゴー)があるが、日本ではここが初めて」と、当時、TTGの阿久津智紀社長が胸を張っていた。
JR東日本のコンビニ「NewDays(ニューデイズ)」に先んじてファミリーマートがこの技術にいち早く関心を寄せ、同年11月にTTGは業務提携を行い、翌2021年3月に都内で第1号店を出店した。また、同年8月には西武鉄道とファミマが共同で展開する西武線の駅ナカコンビニ「トモニー」にも無人決済システムを導入した。
コンビニ業界以外からも注目
開発の初期段階では店内に一度に入れる人数が2~3人、決済手段は交通系電子マネーのみといった制約があったが、その後、開発を重ねて大人数の来店にも対応できるようになり、決済手段もクレジットカードや現金に広がった。TTGの無人決済システムはコンビニ業界以外からも注目を集め、ANAグループのANA FESTA(エーエヌエーフェスタ)が羽田空港や中部国際空港で展開する空港ギフトショップや、化粧品会社のオルビスの直営無人販売店舗などにも採用されている。
今回焼津駅にオープンした店舗は静岡県およびJR東海沿線の駅施設では初めてという。商品の数は標準的な店舗の4分の1ほどの700種類で、弁当やスナック、飲料などが並ぶ。商品の補充は近隣の有人店舗から派遣された店員が行う。
TTGの無人決済システムにはどのようなメリットがあるのだろうか。ファミマ開発推進部の太田裕資副部長は、「通勤や通学などで忙しい駅利用者が、すばやく買い物できる」と話す。セルフレジのようにレジで商品のバーコードを読み取る必要がなく決済がすぐに終わるため、レジ待ち時間の短縮につながることが期待される。決済の操作にまごつくと時間がかかるかもしれないが、慣れてくれば確かにスピーディに会計できそうだ。
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